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西国33所巡礼(其の1)

期  日 2018年12月22日~24日
参加者 椛澤 他6名

 いきなり巡礼とは、日ごろ無信心で神様や仏様を冒涜する言葉を発している罰当たりな私を知っている方は
驚くかも知れないが私にとっては普通の成り行きだと思っている。

 60歳で定年を迎える時には、定年後は四国八十八か所を巡りたいと思っていたが、
定年が65歳に延長されて、その機会を失ってしまった。

 その後65歳で定年にはなったが、四国お遍路に行く決断を下せず、山登りにだらだらと残り少ない月日を過ごしていた。
そんな時に出会ったのが白洲正子の「西国巡礼」と言う御本だった。

読み進める程に魅了され、心躍らされる思いで読了。
今すぐにでも西国巡礼に旅立ちたかったが、いざ行くとなると一日何ヶ所回れるか
、宿は取れるか、何を用意すれば良いのか、

予算は?等々細かい詰めが必要だと分かり、1年がかりの準備期間が必要だった。

・・・巡礼は、長い間、私のあこがれであった。・・・これは[西国巡礼]の冒頭の一文である。

準備万端整えていよいよ今日から三日間第1回目巡礼開始の火ぶたは切られた。





納札、願い事等を書いて納める札   上の12枚は散華と言って各札所毎に観音経の一字が揮毫されている。御朱印とともに頂ける。


『十句観音経』が教えるのは、『観音経』の真髄をあらわした経典であり、
観音信仰の心をズバリと表現していると言えるでしょう。

 この経典を、ただ心をこめて読誦すれば、数々の不思議な功徳があるとされています。

12月22日(土)

第一番 那智山 青岸渡寺

熊野古道、大雲取、小雲取を超え本宮大社を目指した旅を2度、青岸渡寺にまた訪れるとは我ながら予測がつかなかった。
しかしこうして、観音様信仰の証として来訪すれば、その姿・心は正に信心深き一人の人間なりか?。
いやいや、この不届き者の心を観音様に御すがりして、清らかな精神に鍛えて頂く道場成り。
正に他力本願の情けない自分が此処に居た。

ともあれ、ここで巡礼に必要な持ち物を買い揃えて準備完了。
この日の為に幾百度となく繰り返し練習した御詠歌を、此処で果たしてまともに唱えることが出来るだろうか。
いやいや、その前に般若心経を唱えるところを十句観音経に切り替えて唱和するのだ。
一度も全員での練習をしない、ぶっつけ本番。
お世辞にも揃ったとは言えない有様だったが、皆の心は一つになっていた。
続いて御詠歌詠唱。ぎこちなさは有ったが、皆さま精いっぱい詠唱する姿は衆目を集めていた。
初めてにしては上出来のお勤めを済ませて那智の滝見物。
空は生憎の曇りであったが、三本になって流れ落ちる滝の姿は神々しかった。
   御朱印

昨年が草創1300年の節目に当たる西国33札所は今年も記念イベントは有り、御朱印の左上には特別印が押印された。
  本尊 如意輪観世音菩薩

この銅像は第27番圓教寺参道に設置されていた物であり、本尊は秘仏が多いため参考の為にここに掲げる。
以後同じ。
第二番 紀三井山 金剛宝寺(紀三井寺)

青岸渡寺から紀三井寺へ車を飛ばしたが、時間はすでに夕刻、滑りこみセーフの感じで到着。
しかし、そこには急な階段が待ち構えていた。
延々と続く急な登りは、我々ハイカーの鍛えた身体でも息が上がった。
一度目の勤行は早すぎたので今度はユックリ唱えた。すると全員の息がぴったりと?合って様になってきた。
神々しい黄金の大千手十一面観音像に圧倒された。
お勤めを終えて帰ることには日没に成った。
   御朱印

遠く熊野の旅を終えた花山法皇が、この地迄戻りこの御詠歌を読まれた気持ちが分かった。
   本尊 十一面観世音菩薩
今日は2箇所のみの巡礼

宿に向かう途中に見えた和歌山城、ライトアップされていた。
12月23日(日)

第三番 風猛山 粉河寺

ビジネスホテルに泊まった感想はまあまあかな。
粉河寺、朱塗りの大門は迫力が有った。
本堂内には野荒しの虎が有るらしいが、今回は内陣には寄らなかった。
   御朱印

左上の童男さんが可愛らしい。
   本尊 千手千眼観世音菩薩
第四番 和泉の国 槙尾山
西国33所の中でも屈指の難所と言われる槇尾山、入り口には貸杖が有る。
この寒い時期、上着を脱がなければ暑くて登れない。
途中に有る写真。
登りきると弘法大師御剃髪所跡に御堂が建っていた。
お勤めも次第に板に付いてきて、楽しくなってきた。
西国33所の観音様が揃っている。
11面千手千眼観世音菩薩
   御朱印
   本尊 11面千手千眼観世音菩薩
第五番 紫雲山 葛井寺

町中のすれ違いが困難な狭い道を行くと、藤の花で有名な葛井寺は有った。
  千手観音様は秘仏で見ることはできない。
普通千手と言っても千本の手が有るわけでは無いが、ここでは1041本も有るらしい。
 
  御朱印

花山法皇の願いを聞き届けた御本尊様は、眉間から芳香を放つ紫雲をくゆらせたので山名が紫雲山と成ったと言う。
 
   本尊 十一面千手千眼観世音菩薩
第六番 壺阪山 南法華寺(壷阪寺)

若い人のことは分からないが、中高年で壺阪霊験記を知らない人は希だと思う。
私は浪曲で何回か聞いた事が有った。
心に残る人情物語である。

その舞台となったのがこのお寺だという。
御本尊の千手観世音菩薩像
こんなに間近で見れて感激。
しょぼくれた私のお目目を良くして下さいとお願いした。
期待通りその場所は有った。
身を投げた谷を見下ろす場所まであるとは嬉しい限りだ。
  御朱印

涅槃像を見逃して、しまった。 
   本尊 十一面千手千眼観世音菩薩
第七番 東光山 岡寺(龍蓋寺)

大和の国に入ると道端に名所旧跡が普通に有って驚く。
私の住んでいる群馬県の有れば相当重要な遺跡となるだろうと思われるものが並んでいる。
そんな中、岡寺は日本で最初の厄除け霊場と言うから大したものである。
御本尊の如意輪観音菩薩像は奈良時代に作られた塑像で、重要文化財になっている。
飛鳥の里を見下ろすように立つ三重の塔

春には境内はシャクナゲの花が咲咲き誇り、華やかな空気が漂うという。
   御朱印

岡寺の周辺には飛鳥古墳が散在している。
   本尊 如意輪観世音菩薩
今夜の泊りもビジネスホテルで素泊りの為、夕食を食べてからチェックイン
近鉄桜井駅前のホテル。
12月24日(祝)

今日はいよいよ三日間の最後
出発間際のおかみさんは愛想良く送り出してくれた。

第八番 豊山 長谷寺
納経所は朝9時にならないと開かないので、ユックリしようと思ったが、時間が勿体ないので早めにホテルを出発。
来てみると、納経所は9時だが拝観は8時半と言うことだった。早めに来てよかった。
仁王門をくぐると見覚えのある長い階段が長く続いていた。
ボタン寺の名に恥じない、満開のボタンがあちこちに咲いていた。
この時期に咲かせることは、大変な努力が必要だと思う。係りの方の努力に感謝。
ユックリ見学したので納経所には丁度9時に着いて、お坊さんは大忙しで御朱印書きの準備に余念がない。
戦後日本で初めて建てられたという五重塔は素晴らしい。
  御朱印

十句観音経、御詠歌も次第に馴れて、だんだん良くなる何とやら。 
   本尊 十一面観世音菩薩
番外 豊山 法起院

33所以外に番外として3か所が設定されている。
その一つ法起院は33か所巡礼の開基者徳道上人が眠る隠れ寺。
大黒様だろうか?
愛嬌のあるお顔が微笑ましい。
徳道上人は長谷寺を開いた人で、最初は長谷寺の境内だったが、いつしか分かれてしまったようだ。
  御朱印

納経帳に何も載っていないことは寂しい。
 
奈良バージョンのコーラ
一味違って美味しかった。
第九番 興福寺 南円堂

今日は休日の為、人数は多く、御朱印を貰うのに時間がかかった。
写真は南円堂から見た五重塔。
相変わらず阿修羅像の建物は人だかりがしていた。
  御朱印

 
   本尊 不空羂索観世音菩薩
第十番 山城の国 三室戸寺
爽やかな風が流れる行楽日和。
みむろどうと書かれた木柱
宇賀神様
耳を触れば福がくる。
ひげを撫でると健康長寿。
尻尾をさすれば金運がつく。

私は頭を触ったからバチが当たるかな?
美しい風景にマッチした堂宇
  御朱印

夏には250鉢もの蓮が咲き、その光景は極楽浄土のような美しさだという。
また、鐘楼の脇に源氏物語「浮舟」の古碑がひっそりとあるという。残念ながら見落としてしまった。
   本尊 千手観世音菩薩
第十一番 深雪山 准胝堂(醍醐寺)

上醍後へは険しい山道を1時間余り登らなければ行くことは出来ない。しかし、2008年落雷により准胝堂は消失した。
現在は下醍後の観音堂に御本尊の准胝観世音菩薩を安置、御朱印もここで受け付けている。

准胝観音とは「仏の母」と言う意味があり、厄除け、病気平癒、安産、子授けの功徳。また心の働きを清浄し、悟りを妨げる障害を取り除く力が有る観音様
  御朱印

醍醐寺と言えば豊臣秀吉の「醍後の花見」が名高い。
驚いた事に今でも醍後の花見行列を毎年4月にやっているらしい。 
  本尊 准胝観世音菩薩 
第十二番 岩間山 正法寺(岩間寺)

ボケ封じ近畿十観音、四番札所。関東にはこういうのは有るのかな?
また、ボケ封じ33観音と言うのも有るのだ。
標高443m近くに有る岩間山は古道が有って今でも歩かれているようだった。
  御朱印

15時半過ぎ、今回予定の札所を一つ多くこなして、一路帰途に就いた。
登山したわけでは無いので、体調は疲れも知らず絶好調。
高速道路もスピードを控えめにして無事高崎に帰り着いた。

次は1月、雪が降らないことを願うのみ。 
   本尊 千手観世音菩薩



  

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