桐生梅田の野外活動センター脇を通り過ぎて行くと林道に入るが、今春通った時には閉まっていなかったゲートがしっかり施錠してあった。
此処に車を停めて歩き出す。
歩き出して直ぐ左側に水道施設があり、その前を通り過ぎると今春確認しておいた県境への尾根へ続く入口の目印のテープが無事に残っていた。
この印が無ければ、県境を特定するのに時間を要したことと思う。
川を渡るといきなりの急登。
先が思いやられる出始めであった。
急登を越えると尾根に出てクヌギらしい木の大木があったので記念写真をパチリ。
今日一番の展望と言っても過言ではない、冷たく澄んだ空気の中に鳴神山が端正な姿を見せていた。
620mのピークに着くと石祠があった。
その石祠の前の石に「県境、ようこそ」の文字
あれれ?、誰だろう?。
予想では有るが、これは我々が此処を通る事を知っている人が、我々の為に書いたと思われる。
もしかして
「爺さん」ではないかな?
石祠を過ぎると左から右に登山道が横切っている。野峰に通じている道だが、県境とは交差しているので利用する事は出来ない。
これからが本格的な県境、山腹トラバースの始まり。
最初のうちはそれなりに道らしき道、作業道だったような踏み跡が続いていたのでラッキーと喜ぶ面々。
するとあちこちに熊の糞がてんこ盛り。
この辺りは熊の生息地で有名な場所だった事を思い出して、緊張が走った。
一体どうして県境が尾根ではなくこのような斜面に走っているのだろうか?
ましてや県境の標識も全く無いのである。
急な斜面は滑ったら停まらないくらいで、足に力が入る。
先頭を行く私も県境ルートを外さずに歩くのはとても難しかった。

ルートが難しく困難な場合には稜線歩きでごまかそうとしたが、もう少し、もう少しと行くうちに結構歩いてしまった。
幸い深い薮は無かった。
でも県境は尾根沿い沢沿いではなく尾根を越え沢を越えの連続で、体力の消耗が激しく、時には沢に降らないで沢を巻くように行ったが、そこには崖が待ち構えているのだった。

しかし、気持ちが安心だったのはイザと言うときには登り上げれば野峰〜丸岩の稜線に出れて、間違いなく下山できる安心感だった。
県境が鋭角に曲がっているポイント、906mに続く稜線に登り上げると、次回の予定の根本山が午後の遅い太陽を浴びて稜線の影を落としていた。
906m峰には図根点と桐生市の基準点が埋設されていた。
お馴染みのMHC山頂標識をぶら下げて写真を撮る。
此処からの県境は西に真っ直ぐ下っているが、急斜面で危険、一旦北上してから西に曲がって降った。

転げ落ちそうなくらい急斜面に杉が植えられているところをひたすら降ると不死熊橋手前の駐車場に止めてある車のところに目出度く着地できた。
正に、ギリギリセーフ。
暗闇に成る寸前の到着。幸運だった。
9時間の行動はさすがに疲れ、膝ががくがくの状態だった。
でもこれで益々自信が着き、県境を歩ききる事が出来ると思いとっても嬉しい限りだった。
道無き道を地図コンパスを駆使して目標どおりの歩きが出来る事は何事にも変えがたい喜びである。


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国土地理院25000分の一地形図「番場・沢入」

県境踏破シリーズ23

桐生、閉篭里〜不死熊橋

期  日  2007年11月23日
参加者  CL椛澤、他4名

コースタイム
      閉篭里7:50ー906m峰15:55ー不死熊橋16:50

今回の県境踏破シリーズは第23回目。
地形図を見て頂ければ分かるように、県境が尾根上では無く山腹を複雑に、山肌を縫うように走っていて、尚且つ急傾斜が予想されたので、かなり手こずる事が予想された。
ただただ薮の薄いことを祈るばかり。

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